ジャケットの襟テカリ

横からライトを当てるとご覧のとおり

白いものが付いてるように見えますが

光が反射して光っているのです。

いわゆる「テカリ」とか「アタリ」というやつです。

以下「テカリ」で統一します。

「テカリ」は本来起毛である部分の

毛が寝てしまい

平坦になりツルツルした感じになり、

反射してひかります。

原因としては

水分が多い状態で高温高圧で

アイロンにあたる部分がこすれると起こります。

「皆さんがご家庭でアイロンする時

シワを伸ばそうといっぱい蒸気を出して

ゴシゴシこすってませんか?」

特に生地の折り返し部分や

重ね合わせて分厚くなった所に起こります。

これはシワを伸ばす時に必要な条件でもあるので

起毛っぽい生地のプレスには

諸刃の現象と言えるでしょう。

この「テカリ」を出さずにアイロンプレスをするために

プレス時に通常当て布を使います。

最近ではプレス機の性能も良くなり

機械でも「テカリ」は出にくくなりつつありますが

それでも「テカリ」は出ます。

一度「テカリ」を出してしまうと

中々元に戻すことは難しいのです。

*

当店では当て布は原則として使いません。

何故なら当て布をすると

細部のアイロン加減が見えないからです。

ではどうやって「テカリ」を抑えてるのか、

それはアイロンの温度・圧力・水分を

微妙なサジ加減でコントロールしてるのです。

温度・圧力・水分を抑えると

当然「テカリ」は出にくくなるのですが

しわは伸びにくくなります。

それを補うために時間をかけます。

一着プレスするのに

通常の2~3倍の時間がかかります。

手仕上げ・高級仕上げが高いのは

こういった手間賃と技術料なのです。

で、仕上がりはと言うと

今回はウールの生地でしたが

化繊の生地に「テカリ」が出ると

治らないと思ってください。

*

しわが出来る事とシワを伸ばす事は

実は同じ条件の現象なのです。

*

水洗いするとしわが出来やすいですが

ドライクリーニングするとしわが出来にくい

これは、イオンが関係してます。

通常規則正しく繊維の分子が整列して

毛並みが整ってますが

イオン性である水に触れ、

洗ったりして摩擦が起きると

自由に動くイオンに影響され

繊維の分子のお行儀が悪くなり

そのまま乾くとしわになります。

一方ドライクリーニングは

非イオン性の溶剤で洗うため

繊維の分子を乱す者はなくシワになりにくいのです。

アイロンを当ててしわを伸ばす

①これはお行儀が悪くしわになった繊維の分子に

水分と熱を与える。

②繊維の分子が自由に動けるようになった状態で

アイロンの熱と圧力でシワを伸ばして

繊維の分子を整列させる。

③イオン性である水分をアイロンの熱で飛ばす。

④冷やして固定する

作業なのです。

この4工程を上げることをしあげる仕上げると言います。

失礼しました(座布団一枚)。

プレスする・セットするともいいます。

イオン性って何?

分かりやすく言えば

(正確にはちょと違いますが・・)

水のように

酸とかアルカリとかになる液体

又は電気を通しやすい液体

をイメージすればわかりやすいです。

アルコールや油は

酸とかアルカリは無い

又は電気を通しにくいので

(正確にはちょと違いますが・・)

非イオン性とイメージしてください。

専門家の方のツッコミはご勘弁くださいませ。

装いのお手伝いなら

中塚クリーニング「Royal MIYABI」

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